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映画みよっ。

映画のアレコレをつらつら書いていきます

“映画”をまじめに考える。 『八重子のハミング』 

邦画

『八重子のハミング』がNHKおはよう日本』でも紹介され、各所でじわじわと話題に上ってきています。NHKでのテーマは老老介護 “今こそ映画に”」

この作品については以前にも少し書いたけど、今回はちょっと違う視点から つらつらと書きます。

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『八重子のハミング』──アルツハイマー病を発症した妻・八重子と、ガンと闘いながら彼女を支え続けた夫・誠吾の12年にも及ぶ介護の日々を「実話」を元に描いた作品。
メガホンをとったのは佐々部清監督。

佐々部監督は日本アカデミー賞も受賞したことがある日本が誇る映画監督。そんな名監督だからこそ、知らなかったし、思いもしなかったんだけど、この作品は映画会社の協力が得られず、自ら制作費を集めたんだそうです。映画会社が協力しなかったのは「テーマが地味」「ヒットが見込めない」という理由から。

この理由を聞いて“映画”ってなんだろうな、と思った。もちろん映画会社も企業である限りお金を稼がないといけないし、だからこそ映画を当てないといけないのはわかる。好き放題作りたい作品だけを作れるわけではないし、良作だと思って世に送り出しても売れないことはある。
でも、じゃあ、「ヒットが見込める映画」って何? 今、どんどん制作されている漫画の実写化とか? ドラマの続編を映画で、とか? 人気のある漫画・ドラマだからある程度の動員は見込めるし、話題にもなるだろうってこと? それって、「映画会社はヒットを作り出せない」と言っているのと同じじゃないのかなぁ……。

それに、地味だからというなら「派手なテーマ」って何なのかな? 『半落ち』は派手なテーマだった? ……本当によくわからない。

……よくわからないけれど、“映画”にはいつの時代も「今だから」という思いが込められていたと思う。これから高齢者が高齢者を介護する「老老介護」はもっと増えていく。それを伝えるために、「今」、必要なことがこの“映画”なんだって、そういう思いが『八重子のハミング』からは伝わってくる。

映画館で働いている時もだし、今もそうだけど、映画に関わっている人が、自分たちの関わった作品じゃなく、ミニシアターや限られた劇場でしかやっていないような作品の方が「すごい」というのは、やっぱり切ないよ。みかんは映画が好きだから、興行収入とか動員だけじゃなくて、映画会社の本気が感じられる映画がもっと観たいなぁと思う。

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 「怒りに限界があっても優しさには限界がない」(女性セブン11月10日号より)

この言葉もすごいけれど、それを思わせた映画の力を感じずにはいられない。

 

『八重子のハミング』 - 映画みよっ。