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映画みよっ。

映画のアレコレをつらつら書いていきます

スターのカミングアウト(今日はまじめです)

洋画

ここ数年、LGBTのサポートを目的としてカミングアウトをするスターが後を絶ちません。

LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)とは、レズビアン(Lesbian 女性同性愛者)、ゲイ(Gay 男性同性愛者)、バイセクシュアル(Bisexual 両性愛者)、トランスジェンダー、(Transgender 性同一性障害を含む性別越境者)のスペルの頭文字をとったセクシャルマイノリティを指す言葉。

カミングアウトする人が増えた背景の1つは「LGBTを告白する=かっこいい、勇気ある行為」という風潮が生まれてきたからだと思います。これは以前には考えられないことでした。

1984年に「アナザー・カントリー」でゲイの役を演じ一躍脚光を浴びたルパート・エベレットという役者がいます。彼は、1989年に半自伝的小説でゲイであることをカミングアウトしました。それがきっかけでそれまで順風満帆だった生活は一変し、仕事は激減。一時は完全に干されてしまいます。

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そして再びブレイクしたのは1997年に公開された「ベスト・フレンズ・ウェディング」でのこと。その間、約8年。けっして短くない年月です。ルパートは2009年のオブザーバー紙で「正直、売れたいと思っている俳優たちに、カミングアウトはすすめられない」と語っています。本当に正直な気持ちでしょう。それくらい
ハリウッドは保守的な場所だったんです。もちろん、当時の社会全体の偏見の目もあったのでしょうが、今の風潮を彼はどんな風に受け止めているのでしょうね……。

そんなハリウッドでもLGBTに対しての偏見や差別をなくすための作品が増えていき、状況は少しずつ改善されてます。
今日、紹介するのは自身も同性愛者であることを告白したエレン・ペイジが出演する『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気 (原題:Freeheld)』。

20年以上にわたり刑事として働くローレル(ジュリアン・ムーア)は、ステイシー(エレン・ペイジ)という若い女性と出会い、恋に落ちる。2人は徐々に関係を築き、一緒に暮らし始めるが、ローレルが病に冒されていることが発覚する。宣告された余命はわずか半年。自分がいなくなった後も、ステイシーに遺族年金が受け取れるよう、ローレルは郡に申請するが、同性のパートナー同士ということで、法的に認められなかった。病と闘いながら、権利を求めて闘うローレルの訴えは、やがて社会的な運動へと拡大していく。

「人生の夢ってある?」 「家、犬、そしてパートナー」

「特別な権利を求めているわけではありません。
              『平等』を求めているだけなんです」

2015年6月、米国最高裁が下した「同性婚を含むすべてのアメリカ人の婚姻を保証する」という判決に影響を与えた勇気ある人々の真実の物語。
「同性の人を愛する」ということに共感はできないかもしれない。けれど、描かれているのは”手のひらに少しの愛があれば人は強くなれる”という誰もが持ちうる”想い”。愛する人のために病をおして闘うローレル、それを支えるステイシーの姿に心打たれます。

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ここで、エレン・ペイジについてもう少し語ります。彼女はトロント国際映画祭に恋人サマンサ・トーマスとともにレッドカーペットに登場しました。愛する人とともに、とても堂々と……。
彼女がカミングアウトしたのは2014年2月14日、米ラスベガスで開催された、人権擁護団体「Human Rights Campaign」主催のLGBTの若者のための会議「Time to Thrive」でのこと。そのスピーチの中で、
「私はまだ若いけれど、愛こそが、その美しさや喜びや苦しみも含めて人間として人に与えられる、そして与えてもらえる最高の贈り物だということを知っています。私たちにも、その愛を完全に、平等に、恥じることも妥協することもなく体験する権利があるのです」と語り、いじめられ、不当な扱いを受けるLGBTの若者たちの現状を変えようと訴えかけました。その模様は動画でアップされています。
緊張した面持ちで時には声を震わせながら想いを吐露するエレン。当時、26歳。告白することを恐れ、傷つきながらもその痛みを乗り超えて懸命に言葉を紡いでいるのを感じました。

映画の中の「ステイシー」は本当の彼女じゃないけれど、LGBT当事者にしかわからない真実を演技の中に秘めているような気がします。

日本でも2013年に増原裕子さんが東京ディズニーシーで初の同性結婚式を挙げて国内外で話題になりましたよね。これからもカミングアウトする人はどんどん増えていくことでしょう。偏見を持たないように、映画でその一端を知るのもいいんじゃないでしょうか。